7月上旬。
仕事でのストレスがとてつもない2週間があった。
何もやってもうまくいかない。
上司や同僚はぼくの気持ちを汲んでくれるが、それ以上にうまくいかないということに対するストレスが尋常ではなかった。
どうすればいいのか。
全く分からない。
真っ暗な中で綱渡りをしているような、そんな追い詰められた感覚だった。
家族には、
『仕事辞めよっかなぁ・・・。』
なんて冗談めいて言っていたが、結構真剣だった。
違う職業や転職について調べていたのもこの時期。
結局、今の仕事を離れるのが怖くて実行には移せないんだけど・・・。
その間、ブログの記事の更新はおろか撮影にすら出かけない日々が続いた。
やる気が起きないのだ。
『何もしたくない。』
『できるだけ寝ていたい。』
休日は1分でも長く活動していたいと思って朝の4時に起きて行動していた自分が嘘のようだ。
自分にとって、こんなことは初めてだった。
とにかく動きたくない。
そんな日々が続いた。
何といっても事態が好転する見込みがないのだ。
ぼくの力ではどうしようもない壁が立ちはだかっていて、ぼくはただその壁に体当たりをして体を痛めているようなものだった。
正直やってられない。
その間、カメラを手にすることができなかった。
あんなに楽しみだった朝活もやる気が起きず、そもそも写真を撮るということ自体に意欲が無くなってしまっていた。
また、ぼくは言う。
『仕事やめよっかなぁ。』
素直になれないぼくは家族の前でも強がって、冗談めいて言っていた。
家族の前では強がっていたいのだ。なぜだか分からないが。
その言葉を聞いた妻が、冗談めいて言う。
『やめちゃえ!やめちゃえ!心病むくらいならやめちゃっていいよ(笑)』
ぼくの中で何かが弾けて消えた。
え?
いいの?
辞めてもいいの?
そっか。
いいのか。
辞めてもいいのか。
いいんだ。辞めても。
それでも何とかなるんだ。
そう思うと心が軽くなった。
妻は冗談のように言っていたけど、そこには本気でそう思っていると感じさせる何かがあった。
ぼくに合わせてくれたんだろう。
そんな妻の優しさと強さに、あらためて尊敬の念がわく。
そして、そんな妻が隣にいてくれるということに感謝の念がわく。
生きるということは難しい。
順調な時もあれば急に苦難に立ち向かわなければならない時もある。
好きなことだけやって生きていくなんてなかなかできないのだ。
躓いたり挫折をすると好きなこともできなくなってしまう。
そんな苦しいものなんだ。
だからぼく達は寄り添い、支え合って生きていくんだ。
そう感じた夏のある日。
8月に入った。
多少の改善はみられたが、相変わらず事態は好転してはいない。
でも、なんだかもう何とかなる気がする。
所詮、今年1年過ごせばまた新たな1年が来るんだ。
ぼく達の仕事は1年スパンなので、この1年乗り切ればまた新たなスタートが切れるのだ。
全力を尽くすけど、抱え込まなくていい。
ぼくにはぼくが今できることしかできないのだから。
苦難の日々はこれからも続くだろう。
悩んで、苦しくて眠れない日もあるかもしれない。
でも、ぼくは大丈夫だ。
そう思い、カメラを片手に玄関のドアを開ける。
美しい夜明けが訪れると信じて。